ヒマチャルプラデシュ州の旅−マクロードガンジ２

マクロードガンジに戻って街の散策。

まずは、かのダライラマの住居とそれに隣接したお寺ツクラカンへ。
クリーム色に塗られたコンクリート作りで、シッキム州などで見られる
伝統的な建築様式のチベット寺院と比べるとだいぶ見劣りする。
あれあれ？今はここがチベット仏教の中心になっているはずで、豪華な
建物を想像していたのに、ちょっと期待ハズレ？？


お寺の中は老若男女のチベット人参拝客と観光客がいるなか、
目立つのはやはり老人。


亡命歴２５年のチベット人女性
日本にもこういうおばあちゃんいるね。
毎日、友達とお寺に通えて幸せだと言ってました。

お寺に向かって五体投地をするおばあちゃん。

五体投地とは、
①立って、両手を合掌した状態で頭の上まで腕を伸ばす。
②合掌した手をおデコへ。
③さらに胸へ。
④両膝をついて、両手を足の脇の地面につける。
⑤そのままズズズーッと前に滑って、身体を完全に伸ばしおデコを地面につける。
を繰り返す、お祈りの方法。
ヨガで言うところのスーリヤナマスカールを簡素にした感じ。
聖地まで歩く代わりにこれで前進するハードコアな信者もいる。

これは、ご老人にとって健康体操の代わりにもなるそうだ。
チベット仏教を信仰している地域は山々に囲まれたアップダウンの多いところ、
お寺へ通うにも坂道を上ったり下ったりでタイヘンなのに、さらにこんなお祈りを
繰り返すとは、チベット老人は屈強な足腰を持っているに違いない。
このおばあちゃんも10回くらいを１セットにして息も切らさずに何度もやって
いた。


私もやってみたけど・・・。
サッサカ、サッサカ動いているおばあちゃんを横目にすぐに疲れてしまった。
風邪のせいだと思いたい。
ちなみにエクササイズとして考えると、スーリヤナマスカールと比べて柔軟性は
要らないものの腕と腹に筋肉がより必要になる。
ちゃんと手の滑りを良くするように布が準備されていたのが新しい発見だった。



意外にフツーなダライラマのお宅。
なんでも、どうせゆくゆくはチベットに帰るのだから大きな宮殿も豪華なお寺も
いらない、とのこと。
おぉ、チベット人全ての想いをこの建物に見ることができるではないか！
そういうことだったのか。


マクロードガンジで出会ったここ数年の間に亡命してきたチベット人はたまたま
なのか、アムド地方出身者ばかりだった。
アムド地方とは中国の青海省・甘粛省そして四川省の一部のこと。
一般的な地図で見る限り、チベットといえば中国の“チベット自治区”ということに
なっているが、チベット文化圏はその周辺のヒマラヤ山脈一帯の国々に広がっている。
(私が学生時代に行った雲南省の一部もチベット的にはカム地方というエリアになる
んだそうだ。ここのチベット系民族も独特の文化があっておもしろかった。
蛇足だけど、湖でとってきたばかりの活きカエルBBQに参加した強烈な思い出も
ある・・・。ピョンピョンと膝に飛んできてタイヘンだったなぁ。)


そして家族で亡命してきた人よりも、単独の人が多かった。
私が泊まっていたホテルの従業員の男性(青海省出身)は、僧侶としてラサに
行った後、行方不明になった、ということで実家が中国当局にマークされかかって
いるそうだ。
正当な手段でインドに入国していない彼は、国境の警備が厳しくなったことで
そう簡単には帰れなくなってしまった。
もしインドに亡命したことがわかってしまうと、家族は罰を受けることになる。

テレビの中国語チャンネルで四川省の地震について報道しているのを見ていた
彼が、ポツリと「想家.」(家が恋しい)と言っていたのが印象的だった。